2026/08/13 17:49

名刺の隅にある、小さな文字
工房の名刺を整理していて、あらためて気づいたことが。
職人の名刺には、名前の横に「マイスター」「ゲゼレ」と書かれている。
これまで、「マイスターもゲゼレも国家資格。マイスターの方が難易度が高い。」
くらいの、ぼんやりした理解のまま過ごしてきました。
具体的に何が違うのか、何をクリアすると呼び方が変わるのか。
説明を求められたら、たぶん答えられない。そう気づいて、少し調べてみることに。
↑ドイツ国家資格マイスターの証書を抱える、石川貴浩マイスター。ゲゼレとマイスター、資格としての違い
調べて分かったのは、この二つがどちらもドイツが認定する国家資格だということだった。
お医者さんと看護師さんの様な関係性なのか。
ゲゼレは、日本でいう義務教育を終えたあと、学校での座学と現場での実技を並行して進める「デュアルシステム」という仕組みの中で、3年から3年半かけて技術を身につけ、国の試験に合格した人に与えられる資格を指す。試験に落ちれば、その先には進めない。
マイスターは、そのゲゼレの資格を取ったあとに、さらに試験を受けて取得する上位の資格になる。
ドイツでは業種によって、人を育てたり自分の工房を持ったりするのにマイスター資格そのものが必要な分野があるらしい。肩書きというより、責任の範囲を示す資格、という理解の方が近そうだった。
このあたりを一度、工房のマイスターに直接聞いてみた。
「ゲゼレだけでも仕事はできるよ~。職人みたいな感じかな。でも人を育てる立場になったり、工房の看板を背負って責任を取る立場になったりするには、マイスターの資格が必要で、確か当時はハム屋を開業するにはマイスター資格が必須だった気がする。ゲゼレとマイスターは、言わば ”職人”と”親方” みたいな関係性かな。」
「学校と現場を行き来しながら3年以上かけて、最後は実技試験がある。落ちたらそこで終わり。」
短い言葉だったが、資格が「肩書き」ではなく「通ってきた工程」だという実感が持てた。

↑奥:石川マイスター 手前:藤田ゲゼル
資格と、うちの工房で実際にしていること
うちの工房には、このマイスターとゲゼレの資格を持つ2名の職人がいる。
これは 、全国的に見ても、弊社以外にあまり聞いたことが無い。
これは 、全国的に見ても、弊社以外にあまり聞いたことが無い。
ただ、正直に書いておくと、日々の作業のどの部分をゲゼレが担い、どの判断をマイスターが最終的に下しているのか、その具体的な分担までは、今回調べてもはっきりしませんでした。ここは想像で埋めず、今度あらためて工房で聞いて、追って書きたいと思います。
ただ、1つ、明確なメリットがある。
それは、正確の職人の脳と感性が2つずつある、という事。
ものづくりにおいての落とし穴として、ついつい 1人の感性 や 指揮系統 の上で、商品を洗練していくようなイメージだが、実際には、偏った感覚や好みではないか、と不安に陥るのも事実。
しかし、弊社の職人は違います。
しかし、弊社の職人は違います。
弊社の職人のそれぞれの個性として、
石川マイスター:柔和で幅広いアイデアから、多くの人に食べてもらえる事を好む
藤田ゲゼル :自身の好みがはっきりしており、美味しいと思う感性を追求する
そして、この二人は信頼関係が構築されているため、衝突ではなく、
個々の感性を損なわずに、自由で自信を持てる意思決定が出来る環境なのです。
個々の感性を損なわずに、自由で自信を持てる意思決定が出来る環境なのです。
もう一つ、調べていて引っかかったことが。
マイスターやゲゼレはドイツの資格であって、日本や現在のEUの食品衛生基準そのものを意味するわけではないという点。
弊社が持っている資料も西ドイツ時代のものが含まれていて、当時の規定と今の基準はイコールではありません。職人が持っているのは、あくまで製法・技術面での資格であって、日本での衛生管理は別の話として、国のルールの中で製造しています。
マイスターやゲゼレはドイツの資格であって、日本や現在のEUの食品衛生基準そのものを意味するわけではないという点。
弊社が持っている資料も西ドイツ時代のものが含まれていて、当時の規定と今の基準はイコールではありません。職人が持っているのは、あくまで製法・技術面での資格であって、日本での衛生管理は別の話として、国のルールの中で製造しています。
そしてもう一つ、弊社は本場ドイツの製法をそのまま踏襲しているわけではありません。
マイスターの技術をベースにしつつ、日本人の味覚に合わせて仕上げの塩加減や香辛料のバランスを調整しています。
具体的な例を出すと、塩分量をドイツ一般的なレシピより減らしてます。
ドイツのレシピでそのまま作った製品は、恐らく多くの人が塩辛く感じます。
ドイツのレシピでそのまま作った製品は、恐らく多くの人が塩辛く感じます。
塩分の調整に関しては、美味しいと感じる量、と言うより、美味しいと感じる一定のレンジ内で
日本人が好きな香辛料や風味をレシピで組み上げるための、個性の様な物です。
選ぶときの、ちょっとした目安
ここまで調べて、自分の中で一つ整理出来た事があります。それは、マイスターと言う名前は、権威性があるだけではなく、商品の確かさを試される という事です。
商品説明やパッケージに「マイスター」と書いてあるのを見たとき、それが単なる雰囲気づくりであっても、
お客様は、”マイスターのはやっぱり美味しい” あるいは、”マイスターって大したことない”
と、マイスターの評価に繋がるため、”バッジ”よりも、そのブランドの味をより判断される”アイコン”となる、という事です。
もし気になった方がいれば、うちの職人たちが手掛けている品目をまとめて食べ比べてみるのも一つの手だと思います。種類によって仕込みも仕上がりも違うので、その幅を見てもらえたらうれしいです。

資格の中身を調べるほど、次はその技術が日々のどんな判断に表れているのか、気になりますね。
そこはまた、今度書いてみます。
そこはまた、今度書いてみます。
記事で触れた職人たちの仕事を食べ比べたい方はこちらです。
