いちのせきミート 【ドイツ・マイスター・クラフト・ソーセージ】

2026/08/28 17:30

教科書には、桜の木の燻製は載っていない


ドイツの教科書を読み返していて、燻煙のページを読んでいると、気になったことが。
木材によって色と香りがどう変わるかをまとめた一覧がある。
オーク、ハンノキ、トネリコを使うと金褐色になる。ブナ、シナノキ、カエデを使うと真鍮のような黄色になり、フランクフルト系に向くとある。

何度読んでも、桜が出てこない。

いちのせきミートでは、「桜の原木を使った直火式燻製」をこだわりとしている。何年も当たり前のように商品説明をしてきていたのに、そのこだわりの根拠がどこにあるのか、自分でもきちんと説明できないことに気づいた。

なぜ、桜なのか


疑問はひとつに絞る。本場ドイツの教科書に載っていない木を、うちはなぜ選んでいるのか。

教科書の燻煙の項をもう一度読む。
燻製の目的は三つに整理されている。
ひとつは、亜硝酸塩発色との組み合わせで金褐色から黄色までの幅が出る。
ふたつめは香り、おが粉由来の成分にジュニパーやタイムなどの香辛料を組み合わせることもある。
三つめは保存性で、乾燥による水分活性の低下と、たんぱく質でできた膜の形成による。

ただしこの教科書が挙げる木は、いずれもヨーロッパで手に入りやすいものだ。
オーク、ハンノキ、トネリコ、ブナ、シナノキ、カエデ。桜という選択肢自体が、そもそも選択肢にのっていない。

マイスターに聞いてみた。

「ドイツの教科書だからね~。木の種類とかは、基本的に、そこで手に入るものが前提になるよね。」

言われてみれば当然のことなのに、自分では気づいていなかった。
教科書に載っていないから間違っている、というわけではなく、単に想定している土地が違う。


桜を選んだ理由を辿る


では、うちはなぜ桜を選んだのか。ここから先は、教科書には答えがない。マイスターに続きを聞く。

「これはニュアンスだけど、桜は香りが柔らかいっていうか、日本人の口に馴染みやすい、気がするんだよね~。』

早速AIを使って調べてみると、論文情報では”果実の様なフルーティーな香り”、”煙臭よりも、燻製らしい香ばしさ”が特徴で、実食調査でも多くの参加者が、桜の燻製を好んだ結果が出たそう。

これは調べてみても大筋で裏付けが取れた。桜は日本の燻製材のなかでも香りが強めとされ、淡白な食材より脂の乗った肉や青魚に向くという説明が多い。教科書にあるオークやハンノキが「クセの少ない金褐色」を狙う木だとすれば、桜はもっと柔らかく温かい香りを主張する木ということになる。

もうひとつ、マイスターはこう続けた。

「直火にするか、燻煙室にするかで、火の管理の仕方が変わるからね。原木を直接燃やすやり方は、温度が煙の量に引っ張られやすい。だからこそ、目と勘で見ながら調整する時間が長くなるし。」

教科書には、温度と時間があらかじめ表になった手順が並んでいる。何分・何度、という具合に。
それに比べると、原木を直火で燃やすやり方は、決まった数字通りにはいかない工程が多いということだろう。
何を数値化し、何を職人の判断に委ねるか。その線引きの違いが、教科書の手順とうちの工房の間にある、というのが今回わかったことだった。


桜を選んだ、その先はまだ聞けていない


いつから桜を使うようになったのか、他の木と比べてどう決めたのか、というところまでは今回聞けなかった。うちの商品説明にある「桜の原木」「直火式燻製」という言葉は事実として使い続けてきたが、その選択の経緯そのものは、次にマイスターに会ったときにもう少し詳しく聞いてみたい。

食卓に戻すなら

直火式は手間がかかる分、量産には向いていない。教科書にある効率化された代替プログラムを使わない理由も、突き詰めればそこにある。

燻製の強弱でも、味の輪郭が大きく変わり、香りと味わいで大きく印象が異なります。
いちのせきミートのウインナーソーセージは、優しい燻製なので、食べやすく馴染みやすい特徴で、
軽やかな印象を受けると思います。
あらびきウインナーでは、通常の燻製なので、香りと天然腸の張りを楽しめます。
そんな燻製を感じられるオススメのソーセージはコチラです。